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関節にはめる指輪を作り始めた1999年は、 指輪の概念を逸脱した動く指輪を作っていました。そこから7年、2006年に誕生したのは、指の代わりになる関節リング義指。関節の指輪のノウハウを生かした義指のスタイルを提案します。
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チタン製関節リング義指ある日、関節リングのような指を作ってほしい、という義指の制作依頼を頂いたことが一番最初のきっかけでした。それまでの制作といえば、アクセサリーだけだったわけですが、新しく、関節リングを応用した新しい義指とアクセサリーの融合のような装具作りに取り組みました。依頼者は、義肢を作っている製作所はインターネットで全部お調べになられたらしく、義肢製作の会社をまわって、身に着けたい義肢が見つからず、ジャンルを変えてアクセサリーを作っているところを検索されて、私のようなモノ作りにたどり着いての依頼となったとの事でした。そしてそのことによって、新しく、指をデザインするというご依頼にと取り組みがスタートしました。義指アクセサリーを作る職人にとって、指に着ける指輪ではなく、指につける指をデザインするという発想というのは、それまでまったく無い考えでした。
医療装具のこともまったく不勉強でしたので、それから手指義手について調べ始めました。医療装具のデザインに取り組むデザイナーというのも、大変少ない、ほかの業界のデザインからすると、すっぽりと手付かずになっている印象があります。

これまでに医療に関わるデザインに携わってきた人というのは、デザインするという考え方が、基本的にまず無く、エンジニアの人が、技術開発の延長でデザインをしてきたそうです。人工心臓のデザインを手掛けられて有名なデザイナーの川崎和男博士も指摘していることです。そして義指、エピテーゼの分野でも、従来からあったものだけが作られ続けてきていて、義肢のデザイナー不在という現状があります。
従来からのシリコンで出来た肌色のエピテーゼしかなかった世界からの新しいデザインの要請がインターネットの検索で届いたんだと思います。私でお役に立てるならと思い、かっこいいチタンの指をお作りできればという気持ちになり、やってみようと思いました。

それまで手掛けてきた特殊な構造の関節リングには、装着上の工夫を施しています。ジョイントを自由にしなやかに、なめらかに曲がるよう、改良に改良を重ねてここまで来ました。
完成前に試着を数回行いますが、長く愛用するうちに、指輪だこができるひともいるくらい、肌身離さず身につけこなしています。
そのうえで、さらに着け心地良くできるよう、関節の骨n当たる箇所があればそこだけ削ったりして微調整を加えヴァージョンアップしていきました。このようなノウハウが、医療装具にも活かせるのは、私としても大変やりがいを感じることです。
アクセサリー、ジュエリーを作っていて、阪神大震災や、イラク戦争など、有事の混乱の時世に際し、なんと自分は無力で、世の中と無縁なのだろうという無力感を感じていたことがあります。
だれかのお役に立てるというのはこの上ないやりがいです。装具、義指の研究は、このようないきさつで私のライフワークとなりつつあります。
松本恵子 keikomatsumoto
チタン製動く関節リング義指チタンでこのようなリングと呼べるか何のカテゴリーに入るのかわからない関節リングを作るというのは前例が無い事だと思います。指を失ったひとのための義指としての動く指輪作りをするようになったのは、関節の動かせる装身具としての指輪作りがはじまりでした。もともと絵描きになろうと、美大で油絵を勉強していて、その後イラストの勉強や修復や骨董なども勉強し、現代美術のインスタレーション作家としての活動が長かったもので、ジュエリーへは独学で踏み込んだ道でした。伝統工法を知らずに何でも未知の素材を試すうちにチタンに出会いました。もともとインスタレーションで、色彩を自在に使っていたこともあり、チタンの美しい色にどんどんのめりこみ、チタンを素材にしたアクセサリー作りに本格的に取り組むようになっていきました。

チタン関節リング
関節に着け、動かせる指輪。普通の輪っかの概念を超えて、パーツを組み立てていく創作方式で、指輪を生み出していたのが1999年のことです。

かちゃかちゃと動いたり揺れたりする指輪の構造は次第に指の関節へと拡がっていきました。

指を動かしおはしを持ったりペンで書いたりできる関節リングになっていきました。

そして2006年。
指の代わりになる指を依頼されたのがきっかけで、指としてパソコンのキーボードを押せる関節リングが誕生しました。義肢、または義指と考えても、呼び名はともかく、指を失ったことを隠すのではなく、ジュエリーを着ける、アクセサリーをまとうような気持ちになれるような関節リングが出来上がりました。
義指 2007 5
指の長さ、関節の状態はケースバイケースで対応しながらデザインを考えます。
指輪として、指にはめることになり、そこにある程度の重さもかかるので、その場合は指に密着する面積が増えることにもなります。
指に負担がかからず、着け心地よく使える構造を模索します。
バネ指に対応するリングも紹介します。
シルバー関節リング
アクセサリーとしての関節リング 製作例
1999年から作り続けてきたシルバーの関節リングジュエリー。指輪と呼べないかもしれませんが、アクセサリーデザインを世界最小の建築デザインだというコンセプトで作っていました。
指を曲げてもその曲がり具合によって、パーツ同士も動き、バネが仕込まれているかのようにしなやかな動きが可能な装身具です。
■シルバーで作る利点
シルバーは軟らかく加工しやすい金属です。
使っているうちに、味がでてきますので、それを計算してわざと彫りを着けた部分と彫らない部分でコントラストをつけます。
また、シルバーは白い金属ですので、いぶして、黒い部分とおバランスでデザインします。

■チタンの利点
チタンは硬く、耐久性も高く、またシルバー同様抗菌性も高いので、毎日使うのに適した金属です。
チタンは酸にも強く、温泉にもまったく反応しない強い素材です。人体との相性もとても良く、人工歯根などとして、体内に埋め込まれても安全なので、医療にも使われています。
義指 チタニウム
関節リングシルバー関節リング
爪と可動リングの組合せシルバーリング ジョイントの組み上げリング
バネ指に応用する装具のもとになったリング。
関節が反対に反ってしまう指の動きを少し矯正できる構造です。
親指の付け根の腱鞘炎のような手を保護してあげられるようなリングも開発しています。痛みを伴う腱鞘炎を治すことはできませんが、指の動きを制限する働きを伴うリングは構造を工夫できると考え、ご相談に応じてお作りします。

組み合わせたり、つなげたりしながらデザインした例です。
着ける場所によっては、側面も見せられるようデザインします。
親指や小指は他の指と違い、側面を重要視します。
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