結婚指輪の職人が独自に開発手作りする金属の手指義手

きっかけは関節の動かせる装身具としての指輪作りでした。従来からあるシリコンで作られた肌色の指のエピテーゼではない新しい義指

ジュエリー制作で培ったノウハウで、関節の曲げられるフィンガーリングのような義指の開発に取り組みます]

関節にはめる指輪を作り始めた1999年は、 指輪の概念を逸脱した動く指輪を作っていました。そこから7年、2006年に誕生したのは、指の代わりになる関節リング義指。関節の指輪のノウハウを生かした義指のスタイルを提案します。

従来のエピテーゼの分野になかった関節を曲げられるチタン製リング。デザイナーが指に合わせたチタンの義指を制作します。

[チタン製装具の手指義手:指を失ったひとのための義指としての動く指輪作り

チタンとシルバー関節リング

チタンシルバー関節リング

指輪の重さはパーツが多いぶん単純に計算して通常のシルバーリングの3倍になります。きつくフィットして動作を拘束しない程度のゆるさが理想ですが、動きによっては、指を振った際に、遠心力で飛んでしまいます。なるべく指を圧迫せず、接する面積を小さくしながら、振っても落ちづ、指の一部のように着けられるよう注意を払って造ります。指輪を着けることで指の血行が滞ることがないよう、サイズを注意深く測ります。

シルバーチタン関節リング

リングの軽量化のため、またデザインのアクセントのため部分的にチタンを使うのが有効です。チタンなら、着けているのを忘れるくらいの軽さで製作できます。100円硬貨と1円玉の軽さの違いを思い浮かべてみてください。チタンはアルミのように軽くそれでいて、大変硬く丈夫です。しかも錆びません。
関節を曲げられる可動リングを作る場合、まず
どの指に着けるのかで、設計は変わってきます。
小指ならあまり使わないことと、側面と表面の両方のデザインを見せられます。
中指は機能を重視するようデザインします。

関節リングのオーダーメイド

オーダーメイド作例 関節リング
関節リング
チタンというのは未来の素材です。チタンのジュエリーの歴史はなく、これからこういった作品を自ら作ることで歴史を作っていけると思います。加工が難しいのは、通常の貴金属より何倍も硬いためです。硬くて工具がすぐに切れなくなるので、たった5ミリ切り進むのにすごく時間を要してしまいます。
ジュエリーの伝統が無いだけに、新しい作り方を試みるには、何もないところからの出発なので、何の先入観もなく、新規の発想でもの作りができます。伝統的な工芸的な金工法に基づいた技術ではなく、一からの試みです。
前例が無いチタンのジュエリー作りは加工も破天荒な創作になり、見たことのない形を生み出すのに適した素材かもしれません。

試行錯誤の中から、繊細な関節リングも作りました。

指に接する面積を少なくすことで、動作の制限をなくし、着け心地の良さとデザインを兼ね備えた関節リングができました。